リハビリデイサービスたくみ の日記
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あまり知られていない腰痛の原因
2012.11.06
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今回は、「腰痛の原因もいろいろ」という話です。以前、印象的な症例があったので、それをネタに腰痛を考えてみます。
30代前半の女性。
症状は腰痛。朝起きたら腰が重く硬く感じ、痛みに発展していった様子です。当院に電話があり、数日後に訪問することになりました。それまでの間、整形外科を受診。処方された痛み止めを飲み、仕事を休んでいると症状は少し軽くなったようです。
「痛いから痛み止め」という整形外科の対応。よく聞く話ではありますが、解決案の提示が学歴に反比例しているような…(ひとりごと)。
私が伺った時もまだ痛みが強いようでした。動作をみると、歩くのは大変なようです。また話を聞いてみると、靴下を履いたり脱いだりするしゃがむ動作も更にツライということでした。
ここからは想像力の勝負になります。
しゃがむ動作から、股関節を屈曲する動作に問題があるのではないかと考えました。ベッドに腰掛けた状態で上体を前に倒す動作、問題なし。立位で膝を伸ばしたまま上体を前に倒す動作、問題なし。股関節が屈曲しているのに痛みが出ません。想像が外れました。
次に考えたのは、靴下を履く時の腕の位置です。さっそく、前方に腕を伸ばします動作をしていただくと痛みが出現。股関節ではなく、肩甲骨の動きにつられて腰が痛くなることがわかったのです。背中は腰につながっているわけで、背中の問題が腰に波及することは珍しくありません。
腰痛の部位から、肩甲骨は肩甲骨でも、鎖骨とのつなぎ目の動きに問題があると読み、そこにある巨骨(ここつ)とツボに鍼をしました。
腰を触診してみると、筋肉のこわばりが解けていました。再び、靴下を履く動作をしても痛みが出現しません。読みが当たったことになります。
ここで一つの疑問にぶつかります。
なぜ、鎖骨と肩甲骨に問題が起こったのか…。
「症状がでる少し前、首筋を冷やしたりしていませんか?」
と質問すると、ハッとした表情になって、普段と違う服装をしたことを話してくれました。普段は首筋が隠れる服装であるのに、発症の数日前と前日は首筋を露出する服装をしたとのこと。そこで、首筋をよく観ると、頚と背中の境目あたりに冷えたポイント(ツボ)がありました。そこだけが、クッキリとヒンヤリしているのです。
痛みが消えてしまったとはいえ、この冷えが引き金になったのであれば、放っておけば同じ状況を招いてしまうかもしれません。再発を防止するために、灸を使うことにしました。
冷えたところをピンポイントで温めるところがミソです。お風呂で体全体を温めるのとは効果が全く違います。要は、均衡状態(皮膚表面温度が平均であること)を回復させたいのです。体全体を温める入浴では、なかなか均衡を取り戻すことは難しいと言えます(入浴が意味ないという意味ではありません)。
灸が始まると、すぐに変化がわかりました。体がポカポカしてきて血流がよくなっているのを感じます。患者さん自身も気が付くほどの変化です。
しかし、上半身がよく温まった割には腰周辺は冷えたままです。この灸では解決できない冷えがあるということになります。そこで、うつぶせになって頂いた後、、外踝(そとくるぶし)のすぐ下にある申脈(しんみゃく)というツボに鍼をしたのです。
鍼をしてしばらく待つと、腰と足がポカポカに。うつぶせから起きる時には「軽いっ」という声が出ました。ベットから降りていただいてから、「好きなように動いてみてください」と伝えて、自由に動いて状態をを確認していただきました。結果、「大丈夫です」という答えが返ってきました。
今回、巨骨、陶道、申脈というツボが大活躍しましたが、どんな腰痛でもこのツボが役に立つわけではありません。腰痛の種類によっては全く効果がありません。初めての患者さんから予約の電話を頂いた時、「どこのツボを使いますか?」という質問を頂くことがあります。
実は、返答にとても困っています。「診てみないとわからない」という回答をするしかないのですが、患者さんは、おそらく「○○というツボ」という回答を求めているはずです。なぜ、使うツボをあらかじめ知りたいのかわかりません。患者さんの心理に想像が及びません。
患者さんは、「病名や症状でツボが決まる」と考えるのかもしれません。ただ、病名や症状名は入口でしかありません。「なぜそうなったのか」、「どうしたら抜け出せるのか」を知ることで、体(時には心)の問題を解決に導けるわけです。
どのツボが有効なのか、その時にならないとわからないことが多いのです。故に、「ツボは生きている」と言われることもあります。
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